現在、カントリージェントルマンでは様々な銀食器や、アンティークの素材をリメイクし、作品を生み出しています。
自らのデザインでゼロからのリングやブレスレットの制作はしておらず(現在実験中)、基本的には全てヴィンテージ素材からの作品制作を行なっています。
今回は、”リメイク”というものがカントリージェントルマンにとってどのような意味を持つのかをお話ししていきたいと思います。
リメイクとは
そもそもリメイクとは、「以前からあった作品を作り直すこと」です。その単語の語源はRemakeつまりRe(もう一度)Make(作る)という言葉からきているとされます。
あくまでカントリージェントルマンとしての考えですが、完璧なゼロからモノを作るということはある意味で不可能なことであると考えています。
それは例えば全く新しい指輪を作るとするとき、頭の中にはどこかで見たデザインや何らかのモチーフが存在しているはずだからです。
また、人類が誕生してから我々まで連綿と続く歴史があるからこそ、現在では様々なモノがありその利益を享受することができている、という風に考えています。
過去の偉人の言葉で、「最高の芸術家と思われている人物でも、彼らはそれまでの歴史の中で最高のものの上に立っている」というものがあります。(誰が言ったのか、この文が正しく書けているかはよく覚えていませんが、同様の趣旨であることは確かです)
つまりはミケランジェロやラファエロなど、歴史上で非常に高い評価を受けている人であっても彼らはそれ以前の歴史の上に成り立っており、決して彼らだけでは傑作と呼ばれる作品は生まれ得なかったということです。
この考えから、カントリージェントルマンでは「過去の傑作(ひいてはその歴史)を元にして、新しい作品としての新しい命を吹き込むこと」をこそ”リメイク”と考えています。
歴史との共存
カントリージェントルマンでは、作品の持つ歴史や物語を大切にしています。
ヴィンテージスプーンやバターナイフには、経年変化・劣化による小キズや汚れがあります。基本的に目に触れる部分は何度も何度も磨きをかけ、本来持っていた美しいシルバーの輝きやデザインを表出させた作品作りを行なっていますが、内側は最低限の汚れを落とすのみに磨きを抑えています。
その理由は、ヴィンテージの銀食器が持つ小キズはその銀食器が持つ歴史の証だと考えているからです。
美しいシルバーの輝き、繊細なデザインを楽しむと同時に、内側にある刻印や小キズ、くすみを残すことで、その歴史や物語を身につけて欲しいと思っているのです。
私たちは多くの人たち、つまりご先祖たちが生命のバトンを渡し続けてくれていたからこそ存在しています。どこかでご先祖がそのバトンを落としてしまっていれば、私たちはこの世に生を受けることもなかったはずです。
新しい未来を作る我々は、時に過去の歴史や物語に目を凝らし耳を澄まし、偉大な歴史の上に立つ存在であるべきです。そうやって人々はより良い歴史を作ってきたのです。
カントリージェントルマンが送り出す作品たちが、そんな風に歴史を振り返ったり身近に感じることができるようになれば、これ以上の幸せはありません。
過去を受け継ぎ新しい歴史を作る、現代のジェントルマンたちにこそ、カントリージェントルマンの作品を身につけていって頂ければと思います。