ものを食べる時に、皆さんは何を使って食べるでしょうか。手?フォーク?箸?
世界中の様々な文化の中で、たくさんの食器が作られ使われています。
その中でも長い歴史をほこり、多くの人に使われているのがスプーンです。
当カントリージェントルマンでは、ヴィンテージスプーンを加工し、スプーンでできた指輪、つまりスプーンリングをはじめとしたリメイクヴィンテージアクセサリーを制作し販売しています。
<ロジャースのヴィンテージスプーンで制作したスプーンリング>
今回カントリージェントルマンでも多くの作品の素材となっているそのスプーンの歴史を、紐解いていきたいと思います。
初期のスプーン
初期のスプーンには、ハンドル(持ち手)がなかったとされています。
現代のスプーンの形を成す前までは、多くの場合貝殻や石などがスプーンと同じようにものをすくう食器として使用されていました。
その後ハンドルがスプーンと組み合わされていくことになっていくのですが、その組み合わせが決定的にいつ頃開発されたかはわかっていません。しかし、貝殻や石の次に使用された素材は「死んだ動物の骨であったことがわかっています。
考古学的に見ると、紀元前1000年頃の古代エジプトでは宗教的目的、つまり儀式などのためにスプーンが作られていました。儀式などに使用されるために、スプーンには華やかな装飾や象形文字などで覆われていました。
それが段々と儀式用から食事用へ用途が変わっていきました。その当時の最も一般的なスプーンの素材は、低コストかつ加工がしやすかった木材でした。
しかし、ギリシャやローマ帝国時代、ブロンズ製やシルバー製のスプーンが富裕層の間で一般的となりました。これは中世に至るまで続きます。
中世のスプーン
先述したようにスプーンは歴史とともにその用途・デザインが多様化していきました。
イギリスでは、1259年にスプーンについての初めての記述が確認できます。具体的には、エドワード1世の旅程の項目としてワードローブがありましたが、その中にスプーンの記述があったのです。
エジプト人と同様に、スプーンは食べるためだけでなく儀式にも使われていたことがわかっています。例えば、すべてのイギリスの国王の戴冠式には新しい君主が儀式用スプーンを用いた儀式がありますし、さらにはチューダー・スチュアートの時代に、洗礼用の贈り物としてスプーンを与えることが慣習となりました。
これらの慣習はじわじわと一般層まで広がっていき、スプーンの重要性は高まっていくことになりました。しかし富裕層と一般層との間には大きな格差が広がっていました。それが素材の違いです。
富裕層はその潤沢な財力を表すために、金や銀などの高価な素材でできたスプーンを好んで使用していました。それは同時に、彼らのステータスを表す指標の一つとしても用いられました。
一般層では主に銅や真鍮などで作られたスプーンを使用していたことがわかっています。
近代のスプーン
多様な進化を遂げていったスプーンですが、ルネッサンス時代とバロック時代の間にスプーンのデザインはさらに変わり、18世紀にはほとんど現代のそれと同様のデザインが完成しました。
カントリージェントルマンが使用しているのはこの18世紀以降に製造された現代的デザインのヴィンテージスプーンです。、Rogers(ロジャース)、Gorham(ゴーハム )など世界的なブランドはこういった歴史の上に立っているのです。
カントリージェントルマンのスプーンリング
カントリージェントルマンでは、そんなスプーンに込められた歴史をリングという形に落とし込むことで、古き良き時代に思いを馳せることができればと考えております。
こちらはスプーンを丸ごと一つリングへと仕立てております。素材はもちろんヴィンテージ品となりまして、スターリングシルバーの良さを存分に味わっていただくことができます。
そして当ブランドでは、単にスプーンなどのカトラリーを曲げるだけではなく、何よりその素材が持つ歴史や背景にこそ魅力があると信じております。
一つ一つの作品には読めば読むほど味わいのあるストーリーが込められておりますので、ぜひこの機会にご覧をいただければ幸いです。