自分がカントリージェントルマンを名乗ることになったきっかけとなった人物。それが憧れの白洲次郎です。
https://buaiso.com/about_buaiso/jiro.html
詳しくはこちらの記事(カントリージェントルマンとは)でご紹介していますが、簡単にご紹介するとすれば、
「イギリス・ケンブリッジ卒、180cmを超える長身で端正な顔立ち、第二次世界大戦後にはGHQに占領された日本を一つの国として立ち直らせるために奮闘した偉大な人物」といったところでしょうか。
彼は全ての言動には「プリンシプル(物事の原理・原則)」があるべきだと考え、言いたいことはたとえ相手が誰であろうとはっきり言った人物でした。
戦後GHQが日本に対し様々な要求を求めてくるなか、多くの政治家たちは彼らに対して反抗することができませんでした。しかし白洲次郎はそんなGHQに対しても「言いたいことは言うべきだ」と考え、自分のプリンシプルに則り折衝を続けていきました。
そんな彼に対するGHQの人物評は”従順ならざる唯一の日本人”でした。白洲次郎という人物がどれほどの存在だったかということが、この人物評からうかがい知ることが出来ます。
その後も東北電力の会長など様々な要職を歴任し、戦後復興の立役者の一人として知られている人物です。
本屋さんへ
今回私はたまたま本屋さんへ立ち寄る機会があり、店内を歩き回っているとふと目が止まったのが”白洲次郎”の文字。見つけた瞬間に手に取りレジへ。とにかく彼の本を見つけると何も考えずに買ってしまいます。(彼の本は7−8冊は持っています笑)
https://precious.jp/articles/-/5933
さて、中を開くと(ここからネタバレ注意となります。)、白洲次郎の数々の名言や、彼の略歴や人となりが詳細に綴られていました。
私のブランド名でもある”カントリージェントルマン”についての彼の言葉も掲載されており、「あの人はカントリージェントルマンだという人が、本当のジェントルマンだ」と言う風に、ジェントルマンの中でもカントリージェントルマンこそが本物であると、特別な位置付けがなされていました。
これは、そもそもカントリージェントルマンは郊外に自らの土地を持ち、それらを”守り”ながら動物や植物、作物を養い”育てている”ということが、”尊敬に値する”という考えがイギリスには存在していたためのようです。
さて、ここまでなら今までの彼に関する書籍でも知ることができた情報ばかりでしたが、今回の本には今まで知られていなかった彼の持ち物に関する情報が掲載されていました。
エルメスに特注したクロコ革のアタッシュケース(鍵や持ち手は金ですが、少しも嫌味にならないセンスの良いものでした)、ギャンブルで巻き上げたロレックス、世界的な名店ヘンリー・プール(スーツの仕立て屋)にある顧客台帳には、彼の名前もしっかり記載されていました。
「一流の男は一流品を身につけるのだ」ということがよくわかるほど、彼の持ち物は一流品ばかりでした。
しかし良いものを身につけても、「これは良いものだ」と見せびらかすように身につけるのではなく、「あくまでも自然に」自分に馴染ませることこそが”スタイル”である、というのがジェントルマンの着こなしなのだそうです。
彼自身も、「アンダードレスとオーバードレスに気をつけろ(つまりその場所場所に合った過不足ない服装を心掛けろ)」と常日頃話していたそうです。
彼の服装やスタイルに関しては、「戦場のメリークリスマス」で知られる稀代の名監督、大島渚さんも、パーティー会場で彼が女性と話す様を見てそのあまりの雰囲気に見とれてしまったという感想を話していたことからも、とても洗練されたものであったことがわかります。
ではなぜ、彼は一流の持ち物を持つことを好んだのでしょうか。
※ここからはあくまでも私の想像に過ぎませんので、悪しからず。
カントリージェントルマンが一流の持ち物を持つ理由
まず第一に”長持ちする”ということがあるのではないかと思います。
たとえばヘンリープールで仕立てたスーツは非常にしっかりした作りであり、10年以上は着られるほどの耐久性を誇ります。安かろう悪かろうというものを購入することは、結局は何度もスーツを購入することになり、経済的にも好ましくありません。
そこに”結局一流のものが一番経済的である”という彼なりのプリンシプルがあったのではないか、と思っています。
次に考えられるのが、”イギリスのジェントルマンのスタイルに忠実だった”ということです。
スーツに関してもう少しお話しすると、当時のジェントルマンのスタイルは長持ちするスーツを買い、破れがあれば縫い合わせて着るのが当然とされていました。
白洲次郎の終生の親友であったロビンさんもまた、貴族と呼ばれる身分の方でしたが、彼は同じスーツや同じシャツを何着も着ていたそうです。好きなスーツを好きなだけ沢山の種類買うことも出来そうなものですが、これはなぜでしょうか。
あくまで私の考えですが、毎回違う種類で高級そうなスーツで会うとすれば、その会った人は多少なりとも威圧感だったり緊張感を感じるものます。
で、あるからこそロビンさんは、「いつ相手が自分と会っても、前に会った時と同じようなリラックスした状態で話ができるよう」に、同じスーツやシャツを何着も持っていたのではないでしょうか。
本物のジェントルマンとは「いかに相手をリラックスさせられるか」であったり、 そのときどきのTPOに合わせた服装を取ることで、「その場に対する尊重・尊敬の念を表す」ことをしていたのではないかと思うのです。
つまり、ジェントルマンにとって”服装”とは「自分を着飾るためのもの」ではなく、「他人やその場所に対しての礼儀・思いやり」として機能していたのではないか、と思うのです。
「一流の人たちと会い、一流の場所へ出向くのであれば一流のものを持つべきである。しかしそれを見せびらかしたり、相手に対して威圧感を与えないというバランス感覚も、同時に持つべきである」
イギリスに留学中に出会った沢山の英国紳士との出会いに薫陶を受け、そんなプリンシプルを持つに至ったのかもしれません。
最後は、”身につけているもので判断される時代であったから”とも考えられます。
「文質彬彬として然る後に君子なり」とは有名な孔子の言葉ですが、ご存知でしょうか。
これは「見た目にこだわらずに内面だけを磨いても野暮ったくなる。逆に内面にこだわらず見た目だけ気にしても薄っぺらくなってしまう。人格者たるもの、見た目も内面もしっかりとしていなければならない」という意味です。
事実、白洲次郎はその娘さんであった桂子がパリに留学する際、「いいものを使えばホテルでの扱いが違うぞ」と言って、ルイ・ヴィトンのトランクを持たせたそうです。
「しっかりとした対応をされたいのであれば、しっかりとしたものを持つ」
至極当然のことでもあります。
と、ここまでの洞察はなされてはありませんでしたが、白洲次郎好き、もしくはジェントルマンの持ち物についてご興味がおありの方には、是非ともおすすめしたいこのMEN'S Precious2018夏号。
まだまだ発売されたばかりですので、是非ご一読だけでも頂ければ幸いです。
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