今年も残すところあとわずか。街には楽しげなクリスマスソングや煌びやかなイルミネーションが現れ始め、ふと気がつくと自分の心もどことなくザワザワしているのを感じます。
いつも当ブランドサイトをご覧いただき、誠にありがとうございます。Country Gentlemanでございます。
今回は、ヴィンテージカトラリーの知られざる歴史、そしてヴィンテージアクセサリーをご紹介させていただければと思います。
Tiffany&co ヴィンテージフォーク -English King-
ティファニー初期の伝説のデザイナー、Edward C. Moore(エドワード・C・ムーア 1827–1891)。
彼はティファニー黎明期を支えたデザイナーとして、現在でも多くの人に尊敬されている人物ですが、彼と共にティファニーを支えた優れたデザイナーがいます。それがCharles T. Grosjean(1841–1888)です。
Edward C. Mooreは日本のデザインに影響を受け、”Japonesque”と呼ばれる日本風なパターンで1867年のパリ万国博覧会を席巻します。
実はその際に共にデザインを作り上げていたのが、このCharles T. Grosjeanだったことはあまり知られていません。
彼は植物を多用した有機的なデザインを得意としており、1880年にはChrysanthemumという細かな植物が持ち手に絡みつく優れたデザインを残しています。
その後の1885年(約134年前)に彼がデザインしたのが、このEnglish Kingと呼ばれるパターンです。
実はこの1800年代末から1900年代初頭にかけては、アメリカ・ヨーロッパを中心に"King"と呼ばれるパターンが非常に流行していました。
例えばこちらは1835年にWallaceが発表した"King"です。
また、こちらはGorhamが1885年に発表した”Kings III”と呼ばれる"King"パターンです。
さらに、こちらはWhiting Mfgが1890年に発表した"Old King"と呼ばれるパターンです。
※ここに列挙した例はあくまでごく一部であり、私が確認しただけでも他にも5-6個ほどの"King"パターンが存在していました。
ご紹介したように、いずれのブランドも近しいデザインを採用しており、このデザインが当時非常に人気があったことがお分かりいただけるかと思います。
これほどまでの人気を博した"King"パターンを、Tifany&Coが独自の解釈で表現したのが彼(Charles T. Grosjean)がデザインした"English King"だったのでした。
19世紀末らしい植物を多用しながらも、"King"の名に相応しい”気品”や”品格”を感じさせる、高貴な印象を表出させることに成功している、非常に優れたデザインとなっています。
このクリスマスには、今回ご紹介したTiffany&coのものではありませんが、このKingデザインのヴィンテージフォークをいくつか発表予定となります。
ぜひこの機会にお試しをいただければと思います。
TOWLEヴィンテージフォークバングル-Country Monor-
こちらは先日のアメリカ買い付けで入手した、TOWLEが1966年に発表されたヴィンテージフォーク"Country Monor"から製作された、ヴィンテージフォークバングルです。
"Country Monor":「田舎(故郷・祖国)の荘園」の意味を持つこのパターンは、T. Merryによってデザインされました。
冠されたその名前は、緑で囲まれた中に佇む領主の館で、暖かな食事を楽しむ様子を感じさせます。
持ち手部分の豪華な縁取りと、中央部の滑らかな曲線が穏やかに調和されているこの"Country Monor"は、スターリングシルバーの輝きを改めて美しいと感じさせてくれる、優れたデザインとなっています。
いくつものくびれが折り重なることで生み出される、独特かつ美麗なリズムをお楽しみいただければと思います。
ヴィンテージスプーンリング"Corinthian"
当カントリージェントルマンでは定番のラインナップとなった、ヴィンテージフラットウェアのスプーンリング。
今回ご紹介するスプーンリングは、世界的な銀食器ブランドであるGorham社製のヴィンテージスプーンから制作された"Corinthian"となります。
このパターン"Corinthian"をデザインしたのが、当時実力派デザイナーとして名を馳せた、George Wilkinson(1819-1894)でした。
彼のデザイン力の高さは非常に高い評価を受けており、彼が生前製作した素晴らしい作品のいくつかは、インディアナポリス美術館に収蔵されるほどの希少価値があり、
世界的に認められているデザイナーの一人です。
この"Corinthian"のそもそもの意味は「華麗な」や「(古代ギリシャの)コリント式」となっています。
ちなみにコリント式とは、古代ギリシャの建築様式の一つであり、アカンサスと呼ばれる植物の葉や、細身の柱身が特徴の美しいデザインとなっています。
銀食器の世界に、美しい建築様式のデザインを持ち込んだ彼のセンスには脱帽するほかありません。
2019年の締めくくりに上質なヴィンテージ を
今年も様々なことがありました。
きっと皆様におかれましても、楽しいことばかりではなく厳しい日々もあったのではないかと思います。
そんな悲喜交交の日々をそっと癒してくれる、上質なヴィンテージ をこの機会に是非お試しいただければ幸いです。
そしてあわよくば、この作品たちを手にした方々の心を少しでも温めることができれば、この上なく嬉しく思います。
Country Gentleman
Comments